2024年06月15日

本番まであと半月!

気が付けばもう六月も半ば。定期演奏会まで残す練習はあと3回となりました。ブログ担当の怠惰を取り返すためにこれまでの練習をダイジェストで振り返っていきますね笑

初めて滝本先生にお越しいただいて指揮者合奏が行われたのは、四月の末のこと。それまで手探りだった曲の全体像やイメージが共有され、ようやく本格的な練習がスタートした実感がありました。

六月の頭には合宿練習が行われました。
初日は朝の十時に集合して、少しずつ休憩をはさみながら夜の九時までみっちり練習。初参加の新入団員には「なかなかハードですね」と言われ、夜の分奏まで終えてもまだパワフルな音を鳴らす団員に、先生も「皆さんタフですね」と驚かれていました。
合宿中の合奏では互いの音をよく聴きあうために、いつもとは違う席に移動して演奏してみる場面も。オーケストラのど真ん中に陣取るコンミスや逆にバイオリンを背後から急き立てる木管、隣り合って息を合わせるホルンとトロンボーンなど、様々な光景を見ることができました。
演奏も二日間の集中練習を経て着実にレベルアップできたのではないかと思います。合宿の最後に行われた通し練習の録音をもらって、自分の音に注目してみたり俯瞰して聴いてみたり。吹いている場所と観客席で聞こえる音は全然違うもので、録音は貴重な練習素材になります。

先週の分奏練習を終えて残りはすべて先生による合奏練習です。急激に暑くなり体調管理も重要な季節になっています。ひとつひとつの練習を大切に、最後までブラッシュアップしていきたいですね。

それでは皆様、6/30(日)文化パルク城陽にてお待ちしております!
posted by 京都フィロムジカ管弦楽団 at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 練習風景 | 更新情報をチェックする

2024年03月27日

明倫ワークショップ(2024/3/17)

 あっというまに十日ほど経ってしまいましたが、去る3月17日の日曜日、普段練習会場として使用させていただいている京都芸術センターにて、明倫ワークショップが開かれました。
 かつて明倫小学校の校舎であった京都芸術センターはその面影を残した味わいある施設ですが、今回はその講堂を利用させていただき、一時間ほどアンサンブルの公演を行いました。本ワークショップは年に2回行われる貴重な少人数アンサンブルの発表の場です。普段定期演奏会にお越しいただいている皆様にも、より近くで演奏を楽しんでいただける機会となっています。定期演奏会でも毎度プレコンサートとして数組のアンサンブルを披露させていただいていますが、ホールの舞台とはまた違った響きや息遣いを楽しんでいただけたのではないでしょうか。

 さて、次回の明倫ワークショップは秋ごろの開催と少し時期があきますが、来月はまた別の公演が予定されています。こちらも例年参加させていただいております、平野神社での桜コンサートです。京都市は北区、北野天満宮や立命館大学の衣笠キャンパスにほど近い平野神社は桜の名所であり、毎年桜の季節には多くの参拝者で賑わいます。夜には桜のライトアップも実施され、夜桜を楽しむこともできます。
 そんな平野神社にて、桜のライトアップ期間に例年開催されているのが桜コンサートです。数日おきに様々な団体が午後2時と午後7時の2回演奏を行い、桜色の景色を音で彩ります。今年のフィロムジカの出演予定は4月13日の土曜日。リレー公演の最後の団体として出演いたします。
 下記リンク先、案内ページのトップに写真がありますように、神社内の神楽殿と呼ぶのでしょうか、素敵な舞台をお借りしての屋外公演です。定期演奏会や今回のワークショップのような音響を味わえる屋内公演とは異なり、より楽器自身の響きを楽しむことができる場となっています。京都フィロムジカとしての定期的な屋外公演の機会はほかにはないため、貴重な機会です。ようやく寒さも終わりが見え、気分も高揚するこの季節。少し足を延ばして桜と管弦楽のアンサンブルはいかがでしょうか。
 たくさんの皆様のご来場をお待ちしております。

桜コンサートについてはこちら→https://www.hiranojinja.com/home/concert
posted by 京都フィロムジカ管弦楽団 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会の様子&アフター | 更新情報をチェックする

2024年02月20日

遠藤啓輔のコンサート日記(2024.01.18・19)

 音楽監督の尾高忠明が大阪フィルを指揮してブルックナーを演奏。我らが岩井先生ももちろんご出演(2024.01.1819。フェスティヴァル・ホール)


 1曲目は武満徹の『波の盆』。ティンパニやファゴットを使わない軽めの編成を活かした、明るく柔和な音作り。旋律や響きの美しさは、晩年の傑作『Family Tree』を先取りしている。旋律がちょっと不思議な音の跳び方をする点や、根音でない音を強調する和声の鮮烈な色彩感(特に最後!)も同様だ。弦楽のみの素朴な響きを主体にするが、ここぞという聴かせどころ(泣かせどころ)のメロディーには、伊藤数仁のホルンを静かに加えるなど、オーケストレイションが繊細。ヴィオラのハーモニクスやシンセサイザーなどの効果音も良い雰囲気を出している。全曲の中央でのみラッパ隊が加わって快活になる構成は、マーラー『大地の歌』のようで面白い。武満の音楽は、ひとつひとつのフレーズを丁寧に歌い収めてから、次のフレーズを歌い始める。この特徴はブルックナーとも共通しており、ブルックナーと武満をカップリングする尾高の見識の高さに唸らされた。


 そのブルックナーの交響曲、今日は僕が特に偏愛するナンバーの一つである6番。

 冒頭の変形ブルックナー・リズムからして、猛然たる推進力に驚かされる。主題が始まり、フル・オーケストラによってそれが確保されてからも、巨大なフェスティヴァル・ホールを存分に満たすような密度の高い響きで、やはり圧倒的な生命力を持って突き進む。中期の総決算と位置付けることも可能な6番を、作曲家としての壮年期とも言うべき若々しさと気迫に満ちた作品、と尾高が位置づけているのだろうか。

一方、この爆発力のある怒涛のエネルギーは、細部の表現を精緻に磨き上げたからこそ実現したのだと思われる。例えば低音で始まる冒頭の主題は、メッサ・ディ・ヴォーチェによる強弱の表情がつけられているが、それを自然な抑揚を持って表現し、歌に生命力を与えていた。また、ブルックナーはテンポを変にいじると音楽が矮小化してしまうが、かといって杓子定規なテンポのままでは音楽に締まりがなくなる、という難しさがある。今日の尾高のテンポは、主題部分のテンポは変化させずに保持する一方、主題と主題を繋ぐブリッジ部分で軽くルバートをかける、というスタイル。これによって、一定したテンポがもたらす安定感と、イン・テンポから解放される一瞬の気安さ、の双方を実現していた。特に唸らされたのは、全曲の締めくくりである第4楽章のコーダ。低弦のピッツィカートから始まるブロックではテンポを上げてかなりの快速で進むが、第1楽章第1主題がトロンボーンによって回帰する最後の部分に入るとやや遅めのテンポに切り替え、堂々たる重量感をもった終結を実現した。この最後の部分は、あまりにもテンポが遅すぎると締まりのない音楽になりかねない。この部分に入る前のブロックを速いテンポで演奏することによって、最後のブロックの「遅く堂々とした」イメージを実際の遅さ以上に印象付けることに成功したのだ。

尾高のテンポ設定は、作品の構成理解の上でも効果を発揮した。主題を3つもつ複雑な両端楽章について、第1・第2主題を一体感を持ったまとまりとして把握する一方、第3主題は屹立するような存在感を持って演奏し、構造把握を容易にしていた。

自発性に溢れた大阪フィルの演奏スタイルも、ブルックナーの音楽に生命力を与えていた。特に印象的だったのは白眉である第2楽章で、ヴィオラ首席の井野邉大輔とチェロ首席の近藤浩志が、にこやかにアイ・コンタクトを取りながら、可愛らしい動きをする伴奏を弾いていた。伴奏からしてこれだけの生命力があるのだ。音楽に厚みが出るわけである。そして、同じ第2楽章では、第2主題でチェロが軽くディミヌエンド気味に弾き、これも歌に自然な使命力を与えていた。また、第1楽章の第2主題部のように、伴奏と主旋律がズレるようにわざと書かれたブロックも、各セクションが生き生きと自発的に演奏する大阪フィルだからこそ効果的な演奏ができる。

1楽章では、フル・オーケストラの豪快な鳴りが、静かな部面の美しさをも惹き立てた。特にコーダにおけるホルンとトランペットの呼び交わしでの、静かで柔らかな表現が印象的だった。

2楽章は、終盤の肝であるフルートとクラリネットのユニゾンの動機を、オーケストラ全体の透明な響きによって神々しさを惹き立てていた。この動きを受け止めるヴィオラの上行音型も、井野邉のリードによって静かに力強く決められた。

 第3楽章のスケルツォは、フル・オーケストラで暴れ出す部分でのロー・ブラスの動きに驚かされた。トロンボーンが下降音型なのに対し、テューバは上昇音型なので、ロー・ブラスの中だけで十字架を描いているのがくっきりと見えたのだ。村祭りと信仰が一体不可分となったブルックナーらしい音楽といえるが、これがクリアに浮かび上がったのは、福田えりみと川浪浩一の技術があってのことだろう。

 第4楽章もトロンボーンが印象的だった。第1主題から派生した、リズムは単純だが複雑に上下する動きが頻出するが、グレゴリオ聖歌のように厳粛な存在感があったのだ。

posted by 京都フィロムジカ管弦楽団 at 19:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 遠藤啓輔のコンサート日記 | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。