ところでクリスチャン2世の存命中に、同じデンマークでティコ・ブラーエという著名な天文学者が生まれています。彼は現代物理学の礎を築いた巨人の一人ですが、デンマークの有力貴族でもあり、デンマーク王室の庇護のもと研究を進めていたようです。デンマーク国王一族とも面識があったはずですが、クリスチャン2世は彼が23歳の時に没しているため(また晩年クリスチャン2世は幽閉されていたらしいので)、本人と直接対面する機会があったかどうかは不明です。
ティコ・ブラーエは、1572年にカシオペア座の方角で、金星ほどにも明るく輝く新星を観測しています。これは天空は永劫不変であるという当時の世界観を覆す大発見でした。この新星ですが、現在の研究により星が一生の最期に爆発した姿だったことが判明しています。これをティコの超新星と呼び、今年は爆発から450周年の節目の年に当たります。
ティコの超新星を現代の望遠鏡で観測すると、爆発した星の残骸が飛散して膨張していく様子を、今でもはっきりと捉えることができます。実はティコの超新星は私の研究対象でもあって、つい先日ちょっとした発見があったので記者発表を行いました。まさか自分の研究対象が、自分の演奏する曲とこんなふうに繋がるとは思っても見ませんでした。面白い巡り合わせだと感じています。
超新星爆発のガス加熱確認 残骸を動画化 京都大
画像はこの間の皆既月食の(失敗)写真です。観測の鬼だったティコ・ブラーエを見習いたいと思いました。
(チェロ U)