2023年06月23日

旅の思い出 (2023.06.23)

出張でここ2ヶ月あまり海外を飛び回っていました。
パリ、マドリード、グラナダ、ミュンヘン、パレルモ、ソウル。
海外の空港には、時間つぶしのために自由に弾けるピアノが置いてあることが多いです。
日本でも駅ピアノが増えてきましたね。私のように普段電子ピアノしか触る機会のない人間には、本物のピアノを弾けるこのような場所は貴重です。
日本だと弾き終わった後に拍手や声を掛けてくださる事がありますが、海外ではどうかするというと、演奏中に話しかけてくる人がいます。
以前シチリアの空港で、Queenのファンだという女性が現れて、自分はQueenのこの歌が好きだからぜひピアノでとお願いされました。かなりの無茶振りです。

今回は、ローマの空港でショパンを弾いていたら、初老の紳士がやってきて、おまえが弾いているのはナポリの歌に違いないと絡んできました。
「いやショパンですよ」
「いや、ナポリの歌だ」
「いや」
「まあ聞きなさい(おもむろにスマホを取り出し曲を流す)」
「……あまり似てませんね」
「いいから黙って聞きなさい」
しばらく聞くと、そのナポリの歌のサビの部分は、ショパンのあるエチュードの中間部と本当にそっくりでした。なかなか面白い発見でした。初老の紳士は満足げに去っていきました。

今回の定期演奏会の演目であるゲーゼの交響曲は、フィロムジカらしいかなりのマイナー曲だと思います。
私はこれまで一度も聞いたことがありませんでした。
そもそもゲーゼという作曲家自体そんなに知られていないと思いますが、この名前だけはピアノ弾きにはそれなりに馴染みがあります。グリーグの抒情小曲集に「ゲーゼ」というタイトルの小品があるからです。グリーグはゲーゼに師事したことがあるらしく、師の思い出に捧げられた曲とのことです。牧歌調のさほど難しくない曲ですが、おそらくゲーゼはそういう穏やかな性格の人だったのでしょう。そういえば今回取り上げる交響曲第2番も、大らかな自然のような曲調がよく似ています。北欧の田園風景を想像しながら聞くと、より楽しめるかもしれません。

0623pic.jpg
写真はパレルモのソルント遺跡から出土した、古代ローマ時代のアーミラリ天球儀のモザイクです。

(Vc U)
posted by 京都フィロムジカ管弦楽団 at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ちょっとしたつぶやき | 更新情報をチェックする